鍼灸・マッサージの健康保険 1(療養費請求)

神戸新聞 2017年1月19 マッサージ不正請求記事先日、神戸新聞に鍼灸・マッサージでの不正受給による金額が書かれていました。正直、ひどいものです

開業時にいろいろと療養費の事も調べた上で、要介護の方や重度障害ほか、継続して手続きが必要な方をのぞき 基本的に療養費の代理請求の取り扱いをしないことにしています

一体、鍼灸・マッサージでの保険(療養費)とはどのようなものなのでしょうか?

今、手元に 兵庫県の後期高齢者医療制度についての冊子があります

別に後期高齢者だけというわけではなくここに載っている基準は標準になるものです

まず、勘違いして頂きたくないのは、鍼灸・マッサージで使っているのは 「療養費」というものであり 病院の窓口で扱っている保険とは、性質の違うものなのですが 整骨院などでの扱いが病院のような形になっているので誤解されています

詳しいことを書きだすと 「療養の給付」や「現物支給」などややこしい言葉がたくさん出てくるのでまたややこしくなりますから省きますが どちらかというと、年末の確定申告や急に病気になった時に保険証をもっていなくて一回支払った後、返してもらうシステムに近いと思っていただくほうがいいと思います

まず、その点を踏まえたうえで いちばん不正請求に加担しない「鍼灸・マッサージでの保険の使い方」を書いてみたいと思います


まず、鍼灸やマッサージで医療保険制度を使用することは可能です。
ただし、それは一度自分で全額を支払ってから 返してもらうという手続きを経ることになります

本来、療養費は 確定申告などで医療保険の還付手続きをするのと同じように 自分で行うのが基本なのです

この事をよく覚えておいてください

その時に、必ず必要な条件があります

 

 

「医師の同意の下、はり・きゅう・あんま・マッサージの施術をうけたとき」

この条件が満たされないと、支給はされません


必要となる書類は以下のもの

☆ 施術内容明細書
☆ 医師の同意書(3か月に1度新しい同意書が必要です。矯正術のある場合は1か月
☆ (施術を受けた時の)領収書

施術明細書と領収書については受けられた施術所が発行し、医師の同意書については病院で発行してらうことになります

ただし、ここで覚えておく大切なことがあります。

「医師の治療と内容がかぶるものについては療養費は支給されない」
(医師への保険が優先される為)

ここがとても重要です


たとえば、腰痛だったとしましょう

病院に通ってもなかなかよくならない・・・
こういう事はよくありますよね

病院で行われる処置としては、たいたい レントゲン・ステロイド注射・鎮痛剤・シップ・ビタミン剤・理学療法としてのマッサージや牽引、温熱療法、電気療法などがあります。

腰痛の理由もなりかたも様々なので、上記処置で様子をみて改善されない場合 MRIなどの精密検査を行うことになると思います。

これはこれでとても重要なことで 物理的・病的な問題がないかを観察しながら必要最小限の医療費のなかで順序立てて必要な事柄をやりくりする手順になるかと思います。

ただ、人の体はとても複雑で 原因が大きく目に見えない事については西洋医学として証明ができず 対処が不可能になります。(例えば筋肉の柔軟性や姿勢他)
そういう方が、鍼灸の適応施対象者となります

ですが、ここで大きな問題があります

○ 痛みを抑えるために鎮痛剤や湿布などの処方をしている

○ 血流改善のために電気や温熱処置をしている

○ 理学療法士が医師の指示に基づきマッサージなどを行っている

などで医師の治療と施術の目的とがかぶった場合、鍼灸の施術をうけたとしても医師の保険請求が優先されるため

「療養費は支給されない」

少なくとも、制度上はそのようになっているようです
だいたい、腰痛とかでこられるかたは痛みを抑えてほしいとかしびれをなんとかしてほしい、動きをなんとかしたいなど 医師の治療とかぶらないものはありませんよね


ここでよく考えてみてください

医師が西洋医学的処置をしても改善しないとなったときに、「誰が他に対応できるのだろう」ということになります

中には、ご自分でサービス鍼をしている医師も存じていますし東洋医学をご理解・ご評価いただき快く同意して頂ける先生もおられると思います

正直な話、相手の人間性を知っていても 施術については受けてみないと施術者のスタンス・技術はわかりません。ということは、リスクもわからないわけです。(もちろん、それはどんな仕事でもそうですが・・・)

東洋医学にご興味のない医師で理解しやすいものは、西洋医学的なもので筋肉や神経を刺激する程度の事になってくると思いますが そう考えるほど受けたこともない、技術もわからない人に患者さまを託すことはできないでしょう。この点については、医師の責任感と患者さまへのリスクの問題になりますので 医師の愛情面だと考えることもできると思います

別の面からみれば、医師は「治療が出来る人」です。自分が患者様にできる処置に効果がみられないからといって、日本であらゆる治療を行える権威である医師が、一介の技術をしらない 単に鍼をうったり人をもんでいるだけの慰安しかできないような人間に患者を託すのは「自分の技術がない証拠」と考える事もできるということになり この点で同意書の発行を嫌がる人もいると聞くことがあります。(実際には、それは人の体の事や鍼灸・あん摩マッサージ指圧が与える効果をきちんと知り、理解し、分析・解析する機会や必要性を感じないからご存じないだけだと思いますが・・・)

個人的な見解ですが、ここで患者様と心の交流が本当にできている医師であれば はっきりと患者さまに「自分が効果があるかどうかわからないような施術を受けることを許可できません」や「私が必ずよくしてみせますから同意書はかきません」などいろいろとお話をされると思いますが どうやら中にはそのあたりの感情のコントロールをできずに 同意書をもらおうとしている患者さまに嫌味をいったり愚痴を言う医師が残念ながらいるようで傷つく患者様もおられます
それを3ヶ月に1度というのは なかなか苦痛を伴いますよね・・・
合わない施術者で良い結果が出なかった場合には それみたことかと言わんばかりのうさん臭さを感じているような先生ももおられるかもしれません

患者さまご自身も、病院に行く時は急いでいることや体力・通院の問題で だいたいが受診時に「近いところだから」を理由に選ばれることが多く 良い医師を選べていないこともあるかと思いますが そういったやり取りでのトラブルを含めて同意書発行には多くの問題が含まれているようです

施術所でも、どうして来られたのかを尋ねると「近かったから」と言われます。
はっきり言いますが、近くにいいところがあればよいですが そうでなければよい施設(病院も施術所も)を探して通える範囲を広く探すのはご自分の為です。

もし、遠いところに行くことになったとしても 通うために行くのではなく、プチ旅行や買い物などを帰りにしたりなど ご自分で楽しみを見つければ苦痛ではなくなります。
目的を目的だけにしてしまう時点で、生活に余裕と潤いがない精神状態なのだという事も健康にとって大事なバロメーターの一つになりますね。

長くなったので この辺で別のページに分けたいと思います