「肩こり」・「腰痛の原因」と鍼灸・マッサージ

さて、梅雨にも入り ずいぶんと温度変化もでてきています。
まだ、雨の後に気温が下がっているので蒸し暑さは少ないですが
温度が下がらなくなってくると湿邪というのが悪さをしだします。

体の外から入るものもあれば、体の中で作り出してしまうもの、
もともと持ち越してしまっているものなどもあります。
特徴として、体や心の重さ、だるさなどが顕著になり
気持的にすっきりとせずにすぐにへばってしまう事が多くなり
汗をかいても体から熱が逃げずにいる場合や、汗の状態が悪く汗をかくことで
体力を奪われてしまうこともあります。

動かないのに物を食べたがる傾向があることから
エネルギー過多となり変な太り方をするのも湿の特徴といえます。

この時期に、きちんと湿が調整できるように
夏に向けて体を変える準備をしてくださいね。

さて、湿だけではないのですが体がしんどくなると肩こり、腰痛など多くの現象がでます。

所長も、ずいぶんと長い間 肩こりと共存してきました。

ですが、今は地道な施術や健康管理の甲斐あって
肩こりを感じることは ほぼなくなり昔より大分元気です。

しかし、ただ肩こりで・・・腰痛で・・・と皆さん言われるのですが
実際にではどこが肩で腰なのかと聞いてみると
ずいぶんと場所に開きがあるんです。

ある方は首の付け根を肩、ある方は背中の上を肩、
ある方は背中の真ん中を腰といい、ある方はお尻の間を腰といいます。

解剖学的には、たとえば腰椎のあたりやその近辺の起立筋を腰といい
僧帽筋上部や棘上筋あたりを肩と表現するかと思いますが
患者さん個人にはそのような指標がないので
自分が思っている所が肩、腰となります。

問診をしっかりとしないと、そのあたりの表現の違いというのがわからずに
まったく違う対処をしてしまうこともあります。

また、医学的に明るい方でない場合は
肩こり、腰痛などを単なる筋肉の疲れと捕らえていて
とにかく力強く揉んで血さえ通せば健康になるのだと思い込んでおられる方も多いので
無理やり揉んで筋繊維や微細な神経を壊してしまうことで
感覚がなくなった状態を「治った」と言われます。

さて、ここで一つ大事なお知らせがあるんです。
肩こり、腰痛は 筋肉の問題だけではないというのを覚えておいてください。

これを知らない限り、何度でも肩こり、腰痛は繰り返し
リラクゼーションなどで高いお金をかけてその場限りの対処をすることになります。

人の体は小宇宙とよく聞きますね。
さすがに、小宇宙を想像しても広すぎてピンとくる人はあまりいませんので
ちょっとわかりやすく想像してもらいましょう。


あなたは、金魚を飼うことになりました。

何を用意しますか?
何匹の金魚を入れますか?
どんな餌をあげますか?
エビや貝をや水草をいれますか?
どんな場所と温度で飼いますか?

あなたは、金魚にどんな風に生きて欲しいですか?


まずは、入れ物を用意しないと水が溜められないから住めませんね。
次に、息ができないといけないからポンプを用意します。
水が綺麗じゃないといけないから濾過器を用意します。

小さい水槽を用意したのであれば 金魚は少し。
大きな水槽を用意したのなら 金魚はたくさん入ります。

ですが、入った分がみんな元気に生きられるかどうかは別で
ポンプと濾過器で息がしやすくて悪いバクテリアや菌や
ウイルスや変な寄生虫がいないいい環境を作れるかで違います。

どんな餌をどれだけどうやってあげましょう?

自然のもので作られた餌もあるし、いろんなものが入った飼料もあります。
毎日メニューを変えてあげることもできれば、同じ餌を一生もありです。
一匹にあふれるぐらいあげて水が汚れてしまう場合や、
みんなにいきわたらない場合もあれば、何匹かだけが全部食べてしまうこともありますね。

えびや貝や水草は、なぜいれますか?綺麗だから?
違いますね。
金魚の糞や、食べ残し、水の中でできた栄養を食べて育つ藻なんかを
適材適所に処理してくれることで 金魚が元気になるからです。
そして、まわりのすべてが元気だと美しく見えるのですね。
(ただし、人間の好みばかりが美ではない。)

どんな場所におきますか?
屋外の日陰で風通しがいいところ?
屋内の窓のそばで日がいっぱい当たるところ?
玄関の寒い日陰のところ?
水を替えるのが大変な狭い隅っこや電気製品のあるところ?

いろいろありますね。
どこが悪いわけでもありません。
魚の種類や状況にあわないままにすると悪くなります。
悪い状況のまま ほっておくと駄目なんですね。

屋外の日陰の風通しがいいころは、夏はいいけれど冬は凍るかもしれません。
じゃあ、凍らないように囲いや覆いをしてあげたり 水を深くしてあげるたり
日向と日陰を作ってあげたりすればよくなりますね。

屋内の窓のそばで日が当たりっぱなしだと水温があがります。
水草に光はいるけれど、水温が上がって水が腐ったりエビや貝が死んだりします。
では、どうするか。
クーラーで水温を下げたり、カーテンで遮光したり、水をよく替えてあげたり
日のあたる量をコントロールしてあげればどうでしょう。

玄関の端っこで寒ければヒーターを入れてあげたり、
水を替えるのが大変であればいい濾過器をたくさん使ったり、
水草を上手に生やしてあげたりして水が自然に綺麗になるようにしてあげるといいですね。

餌も、その金魚の体質や大きさや目的に合わせて用意して、
様子をみながらみんなが元気でいるようにあげることが大切です。


人の体は、水槽でお魚を飼うことにとてもよく似ています。
金魚は細胞。濾過器は腎臓。濾過器に住むバクテリアは肝機能や大腸の乳酸菌みたいなものです。
水は、体の中の水や血漿。
エビや貝や水草は、白血球やリンパや酵素にたとえることができます。

たとえば、濾過器があっても濾過バクテリアが金魚に悪いものをおいしく食べて必要な数だけ増えないと
たくさん増えすぎても金魚に悪い影響があったりします。
それぞれすべて、バランスが大切なんですね。

肩こり、腰痛、その他の不調も全部同じです。
肩こりでも、筋肉を作るたんぱく質がご飯がたりなくてうまく増えなかったり
おいしい水を飲めなくて息がしにくくて悪いものを出せなかったり、
自分じゃない人が全部ご飯を独り占めしてしまっておなかがすいてしまっていたり
助けてくれる酵素などの自分を助けてくれる力が足りなくて一人ではどうしようもないときも。

同じ姿勢でがんばるのしても 他の筋肉が協力してくれたらいいのにしてくれなかったり
椅子や机などの環境が悪くて体全体が協力したくてもできないときもあります。

食べてくれたらいいものを食べてくれなかったり、寝て欲しいのに寝てくれなかったりすることもあります。

さて・・・どうでしょう?
あなたは、あなたという水槽を上手に運営できていますか?
インテリアみたいに綺麗にしようと思って 駄目になった水草をどんどん捨てて入れ替えたり
明るいほうがいいからと温度が上がっても明るく照らし続けたり、
せっかく元気なのに、藻が生えたら綺麗じゃないからとゴシゴシ洗って
自分だけピカピカだと満足して 金魚がしょぼんとしていませんか?

バクテリアがいなくなってしまって毒がたまり、次の日にエビが死んだりしていませんか?
内臓が痛がって体をかばっているから共同作業ができずになっていたりしませんか?

そう。東洋医学というのは このように自然の働きをしっかりと理解し、考え
その場所場所にあわせて観察し、状況に応じて対処する事の知恵が詰まったものなので
自然の医学というのです。

その中で、人間が病になりやすい傾向のパターンを分析することで、
どのような環境のどのような状況によってバランスが崩れたかを理解して
対処をすることを特徴としているんですね。

そして、大きなくくりとして人が地球の中で重力に耐え、環境に適合している事も
分析、理解することで 体全体の筋肉の負担を理解し
あなたの肩こりがどういった所からきていて、どう対処していくべきかをお話できるのです。

その為に、鍼灸・マッサージではきちんとお話を聞いて触診をし、
例えば筋疲労を起こしている方にはあん摩で血流改善を
体じゅうがストレスなどで緊張して連動できていない場合には指圧や運動法を
冷えが血流を悪くしている場合は、お灸で内臓のケアをしながらマッサージを
体の信号がうまく伝わっていない場合には鍼をというように
多くの方法を使って ゆっくりと金魚の様子を見ながら
水槽全体がよい状態になり、最終的には水槽が自活できるように導いていきます。

それができるのが、東洋医学です。

肩こり、腰痛。いろんな病。

痛くなくなれば目に見えなければ それでいいのか?
一度、よく考えてみてはいかがでしょうか。