鍼灸・マッサージを受けて体調が変わることがあります。

ぼちぼち紅葉も見ごろです。
そろそろ、どこかに行こうかな?と思っていたりします。
ちょっとイルミネーションなんかもつけてみましたよ(^^)

さて、今日は施術を受けた後で起こる事がある体調変化について 少しお話をしたいと思います。

よく言われているのが「瞑眩(めんげん)」と言われている言葉です。

辞典では「めんげん」となっているのですが
鍼灸では「めいげん」と聞く事が多いように思います。
これは、施術を受けた後に だるくなったりしんどくなったりしたときなどに
よく言われています。
「瞑眩」自体はめまいなどの言葉のようです。
よくある事としては、貧血などの眩暈やふらつきなどがあります。
おなかが空いたまま施術をうけるとなりやすいと言われています。

基本的に、鍼灸などの施術を受けた後に
しんどくなったり、だるくなったり、熱が出たり、フラフラしたりなどの他、
体調の悪化に思えるような変化があったときに使われているようです。

施術を受けられると言うことは、現状のお体の状態に手をいれ変化を起こす事を目的としています。

施術には、さまざまな方法がありますが
きちんと施術がなされた場合に起こる体調変化と「誤治」「ドーゼオーバー」と言われるようなものがあります。

「誤治」というのは、方針を誤った施術を行って意図していない方向に向くこと
「ドーゼオーバー」というのは、刺激(与える・引く)共に何かをやりすぎた時に使います。

鍼灸・マッサージには、多くのやり方や考え方が多くありますが「補」と「瀉」という概念があり、東洋医学系のものは気にします。

この概念を熟知できるものはあまり多くおらず、一般の方にご説明するのは非常に難しいのですが一般の方が思われている鍼灸・マッサージは「力やエネルギー、刺激を与える」という側面からの理解だけです。

ですので わかりやすいリラクゼーションなどに理解を示します。

普通の人なら誰でも理解できる当たり前の事だからです。
(実際は、その中で何がどうなっているかを考えることはあまりありませんよね。)

これが、施術所の鍼灸・マッサージが受け入れられにくい一つの山でもあります。
普通は、考え方が理解できると言う事が自分にとってメリットだという風に思うので
理解しにくい専門の施術所よりも リラクゼーションのほうが身近になります。

ですが、逆に言うと 「普通の人には理解できない概念を扱える」事で看板を上げています。
ここが、専門の人間であるからこそ できるところなのですが 残念な事にあまり求められません。
(全ての国家資格所持者がそうというわけではありませんが・・・)

「何かをする」と言うことには、わかりやすく例えると+と-の側面が必ずあるのですが 例えば+ばかりが増えるとパンクしてしまいます。

東洋医学系の施術者は、+と-のバランスをあらゆる面で考えそれをあつかう事を目的としています。
(全ての術者がそうではありません。できる人、できない人、しない人もいます。)

少々、理解しがたいかもしれませんが +の中には必ず-があり-の中には必ず+があります。
そのそれぞれの+と-の中にも また+と-があります。

大きな入れ物として、ある程度一定の大きさがありその中に混在してある+と-(その中の+と-、またその中の・・・)が 常に仲良く相談してお互いが上手に一緒にいられるように相談したり、受け入れたり、協力したり、上手に主張したりしながら存在しています。

これが、よく言われる「陰陽」の概念です。
(もっと厳密に言うと+と-は、実は同じ存在なんですが、難しいので。)
先ほどお話した、「補」や「瀉」は、この陰陽を程よく調整する為に使われます。

「誤治」や「ドーゼオーバー」であるかの見定めは、なかなか難しいのですが「誤治」の場合は、変化が起こった後 体調が悪化していく傾向が多く 「ドーゼオーバー」の場合も、同じく体調不良が続いたり痛みが増したり現れたりします。

「ドーゼオーバー」の場合、お体が異常緊張を起こしたり 逆に脱力してしまうこともあります。

このように、「負」の状態が起こるものについて一般の方にご説明する時に便利に使われているのが「瞑眩」となっているようです。

ただ、「瞑眩」には、意図したものと意図していないものが含まれる事もあります。
この点には、一つ注意が必要かと思います。

さて、では 全ての体調不良が「誤治」や「ドーゼオーバー」なのか?というと
それは違います。

一般の理解では、もし施術後 調子が悪くなったら全て 「アイツは失敗した!下手糞だ!」という捕らえられ方をしますが
実は、「瀉法」や「下法」などと言われる方法があるんです。


これは、お体の中に潜んでしまっているものを形にして解消しやすくする方法です。

先ほど、お話したように お体の中には+と-の力加減があります。


ところが、例えば みんなが仲良くしている裏で暗躍している派閥やテロリストなど
何かをたくらんでいたり潜んでいたりするものがいるとします。
簡単に表に出てくるわかりやすい悪いやつは、すぐに退治することが可能です。
しかし、中にはずるがしこいものや表にでてこないものもいたり長くこっそり悪さをしながらすみ続けていたりするものもあります。


途中で何らかの都合でぐれてしまったり、脱線するものもありますし戻りたくても戻れなかったり、
何かに追い込まれたりしているものもいます。

場合によっては、全体が弱ってしまっているために悪いものを見つけたり追い出したり、正したりできない場合や、
中途半端なワルなので扱いあぐねているケースもあるわけです。
立場や流れ次第でどう転ぶかもわからない因子もいたりします。

これらの「潜んでいるもの」が、何らかの形で長期に渡り何らかの問題をおこしていたりこれらを正したり追い出す力がないときに、良い対応ができるようにバックアップしながら分散した因子を必要な数だけ表舞台ににでてくるように扱う事があります。

これらの場合、多くは体の外に追い出す形になるので例えば力が抜けたり、熱が出たりなど 何らかの体調不良として表に現れたりおなかを下すなどのように体の中から追い出す形の状態が起こることがあります。

起こる事を意図して行った場合や、最低限の数を集めて体の対応方法に任せるなど
術者が体調変化の施術の一環として
体の外に現れるように計画して施術をする療術に
「瀉法」や「下法」という方法があります。


この場合、「体調が悪くなった」と言われるような変化があることがあります。

以前、経験した事なのですが その方には以前から「何か大きな体調不良がでるかも」と一応、注意喚起をしていました。
これは、普段の会話の中で望診でしたアドバイスで施術したわけではありません。

その後、その方に体調不良が起こりました。

毎日、繰り返し高熱がでては引き、出ては引きというパターンがあるばかりで
病院にいっても原因が特定できませんでした。

体の中で 何かと繰り返し戦って引き分けている状態です。
ある時間になると現れ、ある時間になると隠れてしまうという状態です。

私が知っている限りでは、その熱の出方は感染症のパターンなのですが 血液検査などでは異常がでなかったようで 解熱剤がでて様子見との事でした。

熱には、熱のパターンがあり そのパターンである程度の病態把握が可能なのですが
医師がなんともいいませんので医師でない私が診断する訳にもいかず その方は、ずっとしんどくて苦しいままでした。

2ヶ月以上その熱のでる状態は繰り返され ご本人は普通の生活ができなくなりました。
その後もはっきりせず診断がなされないまま日が過ぎていきました。

私が知ったのが 体調不良になってから2ヶ月近くたった頃だったのですが
ご本人の了承の下施術をさせていただくことになりました。
何回かの施術をして、少しずつ状態の改善が見えてみました。

ある日 呼吸のチェックをしたところ肺の音にふとした変化を見つけました。
ただ、私は医師ではないので何かの判断はできませんが
なんとなく何かが違うなと感じたのでご本人に病院に行っていただき
やっと肺の一部が正常に動いていないことが確認され抗生物質が処方され、熱のでる日々と決別する事ができました。

この方の場合、少し東洋医学を知っておられた方だったのですが
ご自分で最初の別の症状が出たときに 脈などの状態把握をせずに その症状によいと言われる経穴に手を加えられたそうです。

私がお話を聞いた限りのパターンでしたら
個人的には少なくとも手を加えない場所でした。

詳しくはかけませんが、最初にでた症状は体の外に何かを追い出そうとする
体の防御反応だったと思われるのですが、
以前、別の時にその症状にその経穴が効くと聞いてやったところよく効いたらしく
今回も同じように何も考えずにそれを止めてしまったようです。

ご本人は、症状が止まったと喜ばれたそうですが その後に、いきなり高熱が繰り返す状態に陥ったそうです。

このケースでは、本来追い出さなければいけなかった因子が滞在してしまい
体の中に潜んでしまったことで 体が対応しきれなくなったのが原因と思われます。
日ごろから、食生活などの乱れがあったようですので いざと言うときにお体の力が追いつかなくなったのだと思われます。

その因子が、潜んでは現れ悪さをし続けた結果 病気の発現と言う目に見えて理解しやすい形で現れず長期の体調不良の元になったのだと思われます。

私も、経験不足であったことや 設備や道具の調わない状態の施術でしたので
試行錯誤しながらの施術でしたが
何とか対応可能な形に早めに表に出すことができてよかったかなと思っています。

いろんなご意見があるでしょうが、私は東洋医学が全てとは思っていません。
(それでも根底の概念は全てに通ずるところはありますが。)
「鍼ですべての病気が治る!」と言い切るのは 私には無理です。

物理的な側面、構造的な側面、その他いろんな側面が必ずありますので
これらの事もかね合わせた上で 時間の経過やその他の要因、その方の今後も含めて どのような対応が行われる状態になるのがベストなのかを考えることが大切なことだと思っています。

ですので、例えば 無理に痛みをとって将来的にこじらせてしまうよりも
痛みの起こる原因を探し、例えば他の形でも 何らかの対処がとれる形にまとめたり
複合的に組み合わせながら よい落としどころを見つけたりする事も大事だと考えていてその中に「瀉法」や「下法」も組み込んでいます。

ただ、私の場合 よくある「術者が無理に行う瀉法や下法」ではなく、できるだけ お体が自分の対応策として行う瀉法や下法を目指しています。

例えば、何かの症状があって 痛みが潜んでこじれそうな時は 一時的にバッっと表にでてダメージを少なくまとめられるように持っていくことや
お体がどのような方法でも選べるように ぎりぎりのラインでとめたりすることもあります。

この時に、もし体調不良がでたとしても お体の許容範囲を超えて症状がでたり
違う形で潜伏させたりしないようにしたりなども考えます。

もし、施術を受けられた後 体調不良になられた場合 ご連絡頂ければ対応しますが
例えば その後、うまく改善した後に どのような形になっているかが大事な所だと思っています。

また、それぞれの出し方ですが 体質によってこのように発現するだろうなという
大体のパターンがあります。
ただ、その方のその時々の生活や、衣食住、イベントや季節もありますから
あくまでもパターンと傾向ですけれど あまり大きく外れたことはありません。

先ほどお話した体調不良の方もそうなのですが、お体の中で堅く、くすぶっているものがあるタイプの方は特に一時的に急な熱がでたり、下痢を起こしたりすることが多いかもと思います。

もっとも、おだやか堂トンボ庵 では もともとの施術がきついものではないので
そのような状態になるときは すでにある程度の強さの症状が出ている方となります。

その方が、その時点で対応できる中でのベストな体調不良の出し方をするというのは
なかなか難しいのですが、その代わり、予後の体調が自然と良くなるはずです。
この、良くなるも あまりにも目だって良くなるというのは体に負担がかかります。
急激に悪くなった方は、逆に回復も劇的な場合がありますが

長く何かをお持ちのかたは、劇的な体調変化が次の不良の元になったりもします。
ですので、おだやか堂トンボ庵 では 体調不良が長いほど自然に知らないうちに消えていくような形で無理なく改善されていくように考えています。

ここが とても難しいところで
「施術を受けたから良くなったのか、それともほっておいても一緒だったのか?」
となるのですが 普通の方には目に見えていないところで私なりに予後が違うように施術しています。

鍼灸・マッサージは、人の手による手技により お体の状態を変える技術です。
多くの方が、すでにお持ちの体調不良などを改善するためにお越しになられると思います。

ですが、その改善には 多くの方法やパターンがあって気持ちいいことばかりが良いわけではありません。

時には、心を鬼にして でも、苦痛は最低限ですむように そして、その後のお体ができるだけ健やかに維持できるようにする
そういう施術もあることをご存知頂いておくのも大切なことだと思っています。

薬でも、医術でも 例えば食べ物にでも 副作用はあります。

副作用と言うのは、目的と違った事が起きることですが 当然、お体の変化を促す施術でも起こりえることです。
ただ、それが想定内のものであるのか それとも想定外のものであるのか
そこが大事なのだと思っています。

もし、施術を受けた後 体調不良が出たときは 無理に我慢せず 何時でも構いませんのでお気軽にご相談ください。
施術が不完全であったり、お体の状態の把握ミスである場合 対応は無料です。

施術者も、施術後どのような変化があったのかは 常に気にしている所です。

その後、しんどくなかったか 次の日は元気に過ごされているだろうか、
気にされていた状態は改善されたのだろうか?何か不具合は起こっていないだろうか?

毎日、お一人お一人のお顔を思いだし、心配したり、施術を何度も頭の中で反復し考え直します。

そんなこんなを把握させて頂いて 施術に生かすために、必ず次の施術で問診をさせて頂いています。

丁寧に事細かい観察は、多くの医師ですらしないこと。

でも、一部のより複雑でわかりにくい事を見つける医師はしていること。
その観察の一つに問診があります。

医師は あまり直にお体を触って変化させることはありません。

施術者は、直接お体を触って その場で変化を促します。

だからこそ、毎回の問診でいろいろ教えていただくことが大切です。
どんな細かい変化でもかまいません。
変化ではない、普通の生活のお話でもかまいません。

雑談でも、愚痴でも なんでも結構です。
きちんと、その中から いろんな事を糧にして施術をしています。
時には、体調不良もあるかもしれません。
教えてください。
そういう事をしながら、今のつらいと思われるお体をよりよく違う形で維持ができるようにお体のあるべき形を変えていければいいなと思っています。